真珠湾攻撃は日本の外交官が「奇襲攻撃」にしてしまった

日本の開戦通告は、攻撃の30分前にアメリカ側に届くはずだった。しかし、駐米大使館が本国から受け取った暗号文の解読に時間がかかってしまい、実際にアメリカ側に渡ったのは攻撃の55分後になった。(東京裁判では、「大使館員がタイプライターに不慣れなために予定が遅れたのだ」ということになっているが…)

真珠湾攻撃は「卑怯なだまし討ち」となり、ルーズベルト大統領率いるアメリカ政府は、「リメンバー・パールハーバー(真珠湾を忘れるな)」のスローガンを掲げて、アメリカの世論は、一気に開戦へと傾いた。「日本は狡い国で、何をするかわからない」というイメージをアメリカをはじめとして世界に植え付けた真珠湾攻撃だが、奇襲攻撃とされてしまったのは日本のワシントン大使館の外交官の血迷った判断が原因であったことが隠蔽されていたのである。

この血迷った判断を外務省の外交官がやったという事実を外務省は公表するつもりはサラサラなく、国益よりも省益を優先する亡国の民である。(外務省が開戦当時の間違いを認めたのは、ようやく平成6年(1,994年)になってからのことで、しかも、電文が明快でなかったの何だとの弁解付きであった)以下、渡部昇一先生のご著書「世界史に躍り出た日本 日本の歴史5 明治編」より引用し、経緯を明らかにする。

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■日本に奇襲攻撃をする意思はなかった

いまだに真珠湾攻撃は日本にとってマイナスの要素となっている訳だが、これが最初から奇襲攻撃をするつもりで行われたなら、まだ諦めもつく。小狡い日本人だという悪評も感受しよう。しかし、現実には日本はまったく奇襲攻撃をするつもりなどなかった。

政府も連合艦隊も、ちゃんと開戦の通告をやってから真珠湾に最初の一発を落とそうと思っていたのである。ところが、これは予定通りに行われなかった。それは、すべてワシントンの日本大使館員の怠慢に由来する。

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■開戦の30分前には国交断絶通告の手はずだった

真珠湾攻撃に当たって、海軍軍司令部総長の水野修身は宮中に参内し、昭和天皇に「戦争はすべて堂々とやって、どこからも非難を受けないように注意致します」と奏上した。また、連合艦隊をハワイ沖に送り出すに当たって、山本五十六長官は「くれぐれも騙し討ちにならぬよう」と念を押したという。

このときの日本政府の計画では、開戦の30分前にはアメリカ国務省のコーデル・ハル長官に国交断絶の通告を渡すようになっていたようである。

■事実上の最後通牒「ハル・ノート」が日本に渡されていた

「たった30分前では奇襲と同じではないか」という議論は成り立たない。というのも、この当時は、すでに開戦前夜のような状況が続いていた。すでに対日石油禁輸は実行されていたし、アメリカにある日本資産の凍結が行われていた。また、アメリカ側の事実上の最後通牒ともいうべき「ハル・ノート」が日本に渡されていたからである。

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・コーデル・ハル国務長官 【出典】https://ja.wikipedia.org/ より

■実際には真珠湾攻撃から55分も経って米側に断交通知

このような状況であるから、アメリカ側も「いつ日本は宣戦布告を出してくるのか」と待っていたのである。その後の研究では、外務省の暗号は解読されていた上に、機動部隊の動きも知られていたという。だから、日本が開戦の30分前に断交通告を出してきても、彼らは驚かなかったはずである。もちろん、完全に合法的である。

ところが、この予定は大幅に遅れ、実際には真珠湾攻撃から55分も経ってから、日本の野村吉三郎駐米大使、来栖三郎特命全権大使がハル長官に通告書を渡すことになったのである。

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・野村吉三郎駐米大使、来栖三郎特命全権大使【出典】https://ja.wikipedia.org/ より

■ルーズベルトは、日本側の失態を最大限に利用

ルーズベルトは、日本側の失態を最大限に利用した。アメリカ国民のみならず、世界に向けて「日本は奇襲攻撃をしてから、のうのうと断行通知を持ってきた。これほど卑劣で狡猾で悪辣なギャングは見たことがない」ということを印象付けたのだ。

このとき断行通知が遅れたことについては、戦後長い間「大使館員がタイプライターに不慣れなために予定が遅れたのだ」とされた。これは、当時の関係者が東京裁判でそのように証言したからであるが、事実はまったく違うのである。

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・第32代大統領 フランクリン・ルーズベルト

■外務省は前日万端の準備を野村大使に指示

開戦前日(ワシントン時間12月6日)の午前中、外務省は野村大使に向けてパイロット・メッセージ(予告電報)を送った。「これから長文の外交文書を送る。それを後にあらためて通知する時刻にアメリカ側に手渡せるよう、万端の準備をしておくように」という内容である。

何度も言うが、当時はすでに開戦前夜のごとき状況である。日米交渉の当事者であるワシントンの外交官達は、そのことを十分知っていたはずである。

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・外務省庁舎

■日本大使館の連中の血迷った判断

ところが、一体何を血迷ったのか、この日本大使館の連中は一人残らず、夜になったら引き上げてしまったのである。すでに予告電報は届いているというのに、彼らは一人の当直も置かずに帰ってしまった。

というのも、この日の夜(土曜日であった)、同僚の送別会が行われることになっていたのだ。彼らは、送別会を予告電報の重大性よりも優先させたのである。

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・在アメリカ合衆国日本国大使館

■海軍武官が大使館に出勤し電報の束に気付く

さて、運命の12月7日(ワシントン時間)、朝九時に海軍武官が大使館に出勤してみると、大使館の玄関には電報の束が突っ込まれていたという。外務省が予告していた、例の重大文書である。

これを見た武官が「何か重大な電報ではないか」と大使館員に連絡したので、ようやく担当者が飛んできたというから、何と情けないことか。同じ日本人として痛憤に耐えない。

■国交断絶の通知の時間を勝手に遅らせた現地外交官

しかも、彼らのミスはそれだけに留まらない。慌てて電報を解読して見ると、まさに内容は断交の通告である。しかも、この文書を現地時間の午後1時にアメリカに手渡せとある。大使館員が震え上がったのは言うまでもない。

ところが、その緊張のせいか、あるいは前夜、当直も置かずに送別会をやったという罪の意識からか、電文をタイプで清書しようと思っても間違いの連続で、一向に捗らない。

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そこで彼らがやったのは最悪の判断であった。ハル長官に電話して、「午後1時の約束を、もう1時間延ばしていただけないか」と頼んだのだ。

■ワシントン現地外交官が犯した大罪

一体、彼らは外交官でありながら、国交断絶の通知を何だと思っているのだろう。外務省は、「現地時間の午後1時に渡せ」と指示してきているのだ。それを独断で1時間も遅らせるとは、どういうつもりであろうか。

要するに、彼らはエリートかも知れないが、機転が利かないのだ。「外交文書はタイプで清書しなけれなならない」という国際法など、どこにもない。タイプが間に合わなければ、手書きのまま持って行って、とにかく指定された午後1時に「これは断交の通知です」と言って渡すべきだったのだ。きれいな書面が必要なら、あとで持ってきますと、何故言えなかったのか?あるいは断交だけ口頭で伝え、あとで文章を渡してもよかったのだ。

現に、コーデル・ハルは戦後出版した回想録の中で、次のように書いているのだ。

「日本政府が午後1時に私に会うように訓令したのは、真珠湾攻撃の数分前(本当は数十分前)に通告を私に手渡すつもりだっのだ。日本大使館は解読に手間取ってまごまごしていた。だが野村は、この指定時刻の重要性を知っていたのだから、たとえ通告の最初の数行しか出来上がっていなかったにしても、あとは出来次第持ってくるように大使館員にまかせて、正1時に私に会いに来るべきだった

いやしくもワシントン大使館にいるような外交官といえば、昔も今も外務省の中では最もエリートのはずである。そのような人たちにして、この体たらくとは…。

【出典】「昭和大戦の道 日本の歴史6 昭和編」渡部昇一

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