一般的に発電所は電力の消費地に近いところに立地されます。送電コストを考えるとその方が経済的だからです。

しかし、原発はその原則に反して電力の消費地からかけ離れた過疎地域に立地されています。それは何故か、『原発が炉心溶融に至るような大事故を起こした場合正に破局的な大惨事となる』ことが、解っていたからです。

福島第一原発では、汚染水対策に解決の目途が付くこともなく、汚染水を貯留するタンクは増えて続けています。事故収束の目途が立たないにも拘わらず、規制を強化し規制に対応した原発は安全というお墨付きを与え、重要な電力源だからと原発再稼働が進められていますが、何処か狂っているとは思われませんか?

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【出典】東京新聞 2013年4月10日 より

■原発は機械で、人間は神ではない

原発が危険だと言うことは、いまさら議論の余地がありません。

日本では原発だけは絶対に大事故が起きないと言われてきましたが、2011年(平成23年)3月11日東日本大震災で被災した東電の福島第一原発で大惨事がありました。気候や風向きによっては死の灰が日本の首都東京も襲っていたことでしょう。

しかし、原発は機械です。完璧に事故のない機械はあり得ません。また、人間は神ではありません。人間が持っている知識は万能ではありませんし、時には過ちも起こします。

万が一であっても、原子炉が事故を起こせば大変な被害が出ることは、原子力を推進する人たちも知っていました。特に、原子力を設置しようとする会社にとっては、事故を起こしてしまった時の補償問題をどうするかが決定的に重要でした。

世界の原子力を牽引してきた米国では、初の原子力発電所の稼働を前にして、原子力発電所の大事故がどのような災害を引き起こすか、原子力員会が詳細な検討を行いました。

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その検討結果は、「大型原子力発電所の大事故の理論的可能性と影響」(WASH-740)として、1,957年3月に公表されました。この研究では、熱出力50万KW(電気出力で約17万KW)の原子力発電所が対象にされ、その結論は以下の様に記されています。

「最悪の場合、3,400人の死者、43,000人の障害者が生まれる」
「15マイル(24キロ)離れた地点でも死者が生じうるし、45マイル(72キロ)離れた地点でも放射線障害が生じる」
「核分裂生成物による土地の汚染は、最大で70億ドルの財産損害を生じる」

70億ドルを当時の為替レート(1ドル=360円)で換算すれば、2兆5,000億円です。その年の日本の一般会計歳出合計額は1兆2,000億円でしかありませんでしたから、原子力発電所の事故がいかに破局的か理解出来ます。

■原発事故に国の法的保護

当然、個々の電気事業者がこのような損害を補償出来る道理もなく、米国議会では直ちに原子力発電所大事故時の損害賠償制度が審議され、9月にはプライス・アンダーソン法が成立、1,957年12月18日のシッピングポート原子力発電所(電気出力6万KW)の運転開始を迎えたのでした。

日本でも、日本原子力産業会議が科学技術庁の委託を受け、WASH-740を真似て、日本で原子力発電所の大事故が起きた場合の損害評価を行いました。

その結果は、1,960年に「大型原子炉事故時の理論的可能性及び講習損害に関する試算」としてまとめられましたが、その結果がWASH-740と同様に破局的なものであったため、秘密扱いとされてしまいました。

それでも、電力会社を原子力開発に引き込むためには、どうしても法的な保護を与えねばならず、大事故時には国家が援助する旨の原子力損害賠償法を1,961年制定したのでした。それを受けて1,961年に、日本初の原発、東海1号炉を英国から買ってくることが出来ました。

【出典】隠される原子力 核の真実 小出裕章著(京大原子炉実験所)

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